TAEのまちづくり

南町田グランベリーパーク
(南町田拠点創出まちづくりプロジェクト)

すべてが公園のようなまち

次世代へと繋げる持続可能なまちづくり

南町田エリアは1970年代以降の鉄道敷設とともに市街地整備された都心通勤圏の郊外住宅地。2000年にアメリカ郊外のオープンモール型を採用した「グランベリーモール」、2006年に「シネマコンプレックス/オアシススクエア」を駅前に開業し、住宅地としてだけでなく、商業地としての高いポテンシャルが実証された。隣接して緑豊かな都市公園があり、暮らしやすく、住む人にも訪れる人にも更に魅力的なまちとして成長していくために、2015年「南町田駅周辺地区拠点整備基本方針」が策定。南町田グランベリーパーク(南町田拠点創出まちづくりプロジェクト)は、人口減少期においても選ばれ続けるまちを目指す行政と、沿線のまちを活性化させ鉄道インフラを維持する鉄道事業者が同じ目的を持ち、それぞれが持つ資源を融合させ、連携・共同して取り組んだプロジェクトである。「賑わいと緑の融合」をテーマに掲げ、駅・大規模な都市公園・商業施設が隣り合う立地特性を最大限に活かし、次世代へ繋ぐ持続可能なまちを目指した。

世界的に評価される再魅力化事業

グランベリーパーク 1F 全体平面図

本プロジェクトは、東急田園都市線「南町田グランベリーパーク駅」を含む約22haのエリアにおいて都市基盤・鉄道駅・商業施設・都市公園・都市型住宅機能などを一体的に開発し、多世代にとって魅力的な「新しい暮らしの拠点」として生まれ変わらせた。それは駅に降り立った瞬間から空と緑をふんだんに感じる「すべてが公園のようなまち」。全体がひとつの「パーク」であり、ここにいるだけで人々の心も身体も健康的でアクティブになれるパークライフの実現である。駅から賑わい空間を通り抜けて公園や境川まで、境目を感じることなく歩き回れるウォーカブルな環境を創出するため、過去の土地区画整理事業によって整備された道路・公園・宅地を大街区化・再配置し、機能の更新を図った。14の広場空間がシームレスに繋がりあい、賑わいと緑が心地よく融合するオープンスペースを創出し、文化的活動拠点を新たに設けている。環境に配慮した豊かな空間は、多世代がいきいきと暮らし次世代へと繋ぐまちとして、2019年11月にまちびらきを迎えた。そのシームレスな構造やグリーンインフラを生かしたランドスケープデザインなどが評価され、国際的な環境認証制度LEED©(Leadership in Energy and Environmental Design)「LEED NC(新築部門)」、「LEED ND(まちづくり部門)」のゴールド認証を取得。国内において、令和2年度都市景観大賞「都市空間部門」において大賞にあたる国土交通大臣賞、「第40回緑の都市賞」国土交通大臣賞、「第8回プラチナ大賞」新しい時代のまちづくり賞、第1回グリーンインフラ大賞「都市空間部門」優秀賞、「土木学会デザイン賞2021」優秀賞を受賞している。

基盤計画

以前、整備された市街地を再魅力化するにあたり、このまちで展開される人々のアクティビティを再度見つめ直した。その結果、オープンスペースを基調としたウォーカブルなまちへと構造を大きく変えることとなった。人々の動線の起点となる駅は北側の交通広場と南側のエリアを繋ぐ自由通路整備に合わせ橋上化を図った。駅の南側では商業街区と公園を分断していた道路を再度の土地区画整理事業により再配置し大街区化を図り、一体となったまち全体に歩行者ネットワークを張り巡らせた。公園南側には調整池の容量を約9,000㎥から約20,000㎥に拡張し、周辺エリアに対する雨水浸水対策の強化を図っている。調整池は地下式とし、上部は公園のグラウンド等として複合利用している。