TAEのまちづくり

二子玉川再開発

“水と緑と光”の豊かな環境が調和したまちづくり

構想から33年を経て実現した再開発事業

二子玉川は東京都世田谷区の多摩川沿いに位置し、東急田園都市線、大井町線、国道246号線といった交通の要衝ともなっている。古くから多摩川の自然と国分寺崖線の緑に恵まれた環境の下、二子玉川駅東側に1954年の二子玉川園(遊園地)の開園、1969年の玉川髙島屋S・Cが西側にオープンするなど行楽地・商業地として発展した。
しかし、1985年の二子玉川園の閉園を契機に駅東側の賑わいは薄れていく。老朽化した木造建築物の集積に加え、道路整備等も不十分で、都市基盤の脆弱さや安全性、防災面における問題を抱えるようになった。
前後して、大規模な空閑地の有効活用を求める声が高まり、1982年に二子玉川東地区では「再開発を考える会」が発足。1986年、東京都都市開発方針の「再開発促進地区」に指定され、「二子玉川東地区基本計画」を世田谷区が1987年に発表した。これまでにない洗練された都市機能と、あるがままの豊かな自然が共存する未曽有の再開発事業が一歩を踏み出したのである。

都市と自然が共存する都内最大級の民間再開発

総開発面積は約11.2ha、民間再開発としては都内最大級のスケールを誇る。東京の西の玄関口としての二子玉川の持つ立地的優位性を活かし、「都市から自然へ」「水と緑と光の豊かな自然環境が調和したまちづくり」の2つを都市デザインコンセプトとして掲げた。二子玉川駅を拠点にして商業施設・オフィスが立ち並び、駅から遠ざかるにつれて緑豊かな高層住宅や都市公園、そして多摩川の自然に至る。
区域内の歩行者専用通路は自然の変化を徐々に感じられるよう工夫され、すべての人々が安全・安心・快適に生活できる複合的かつ地域の交通の核となるまちづくりを目指した。再開発事業は2つの事業区域に分かれ段階的に実施された。第1期事業は2011年、第2期事業が2015年に竣工し、回遊性と賑わいのある広域生活・文化拠点となる「二子玉川ライズ」という新たな街が完成した。約1kmにおよぶ長い形状の二子玉川ライズは、二子玉川駅と二子玉川公園を1本の遊歩道リボンストリートで繋ぎ、商業・オフィス・ホテル・住宅など多様な生活利便施設を集約させることでコンパクトなウォーカブルシティを実現。建物やインフラストラクチャーは環境に配慮した最新の設計手法を採用し、エリア全体のさらなる価値創出に貢献している。

基盤整備

地区全体で東西を結ぶ歩行者ネットワークを形成。国道246号線地下の連絡通路や上空歩行者連絡デッキ、人工地盤上の歩行者通路を整備し、二子玉川駅から多摩川に至るまで自動車交通等に阻害されない歩車分離した立体的で回遊性の高い快適な歩行者空間を実現した。また、無電柱化(電線共同溝)を世田谷区管理で整備することにより、防災、景観、快適性の向上を図るとともに、交通広場で発生するバス、タクシー、一般車等車両の動線の最適化、歩行者との動線分離を行っている。さらに防災の観点から、各街区内に雨水流出抑制施設(地下貯留ピット)を設置し、再開発区域内で再構築した下水施設に接続することで、冠水対策の向上を図っている。

(仮称)二子玉川公園の図は、世田谷区が策定した(仮称)二子玉川公園基本計画図を世田谷区の承諾を得て掲載したものです。