2025.04.14
お知らせ

竣工DRの結果について

当社の建築設計本部では、その年に竣工した建築物を対象にデザインレビューを実施しており、そこで高く評価された作品を表彰しています。
毎年実施しているこの社内イベントは、「竣工DR」と呼ばれており、品質向上や社員のモチベーションアップにつながっている取り組みの1つです。

2024年度 竣工DRの表彰作品が決定しましたので、お知らせいたします。

金賞 渋谷アクシュ

基本情報
所在地:東京都渋谷区渋谷二丁目17番1号
主要用途:事務所、飲食・物販店舗、駐車場
建築主:渋谷二丁目17地区市街地再開発組合
竣工日:2024年6月
施工会社:株式会社竹中工務店
延床面積:44,540.95㎡
構造:地下SRC造、地上S造(柱CFT造)
階数:地下4階、地上23階

作品概要
計画地は文化・教育機関が集積する渋谷~青山エリアの好立地に位置しています。その一方、幹線道路(宮益坂、明治通り、青山通り)に囲まれた高低差がある立地ゆえ、周辺エリアとの円滑な回遊が妨げられていました。
ここに新たに立つ「SHIBUYA AXSH」は、名前の由来ともなっている渋谷(SH)と青山をつなぐ(X)役割はもとより、渋谷ヒカリエとの接続デッキ、国道246号線側歩道橋と接続し、スカイウェイと渋谷三丁目方面をつなぐ役割も果たします。また、広場を介して宮益坂につながる他、将来的には西側隣接街区との接続も視野に入れており、コンパクトなフットプレートで効率的に6方面をつなぎ合わせました。「道(歩行者ネットワーク)」がまさにAXSH(握手)するように交錯する低層部の空間づくりに際し、地権者と行ったワークショップで「TSUNAGI-BA」というコンセプトが生まれました。
低層部は建物を貫くそれぞれの「道」と都市の接点を特徴づけるデザインとしました。区道側の接点は渋谷ヒカリエを抜けた正面にアトリウムを配置して大きな開口部を強調するゲートとして設え、床、壁、天井のテクスチャーを連続させることで内外のつながりを持たせました。青山側の接点は庇を大きく開いた形状として道を往来する人々を迎え、アトリウムへと導いています。また、屋内に配した樹木が外の雰囲気を取り込むアトリウムには、腰かけられるようにした階段の基壇部や、座ることができる植栽ポットなどを配置し、「TSUNAGI-BA」を形づくっています。高層部の外装は6方面をつなぐ「道」をアルミキャストのフィンで表現することで、計画の特徴を活かしたファサードデザインとしました。

Architect
花田 悠晟 Hanada Yusei

建築設計本部 第3設計室

1995年東京都生まれ。
東海大学工学部建築学科卒業後、東急設計コンサルタントに入社。

受賞を受けて一言
まずはこのプロジェクトに関わった全ての方々に感謝申し上げます。長期に渡って様々な方の協力によって成し遂げられたプロジェクトであり、全ての関係者に改めて感謝申し上げます。意匠性において一切の妥協を許さない設計監理によって建築物としての全体な完成度に繋がっており、渋谷周辺再開発の中でも一線を画したデザインになっていると自負しています。その点を含めて評価頂き設計冥利に尽きる思いです。個人的には入社から現在まで約7年設計監理を行った非常に思い入れのあるプロジェクトであり、三菱地所設計との協業によって得られた経験を今後の設計に活かしていきたいと思います。改めてこの機会を頂き誠に感謝申し上げます。

銀賞 COERU渋谷公園通り

基本情報
所在地:東京都渋谷区神南1-20-8
主要用途:サービス店舗、物販店舗、事務所
建築主:東急不動産
竣工日:2024年7月
施工会社:坪井工業株式会社
延床面積:1,799.15m2
構造:地下RC造 地上S造
階数:地下1階 地上9階

作品概要
計画地は渋谷駅~代々木公園をつなぐ坂道(渋谷公園通り)の中腹に位置しています。坂上・坂下の双方向から多くの人々が行き交う好立地です。
外観は行き交う渋谷の人々からの視線や、各階で異なる業種の入居が予定される事から、積層されながら各テナントが公園通りに対して個性を出すファサードとして表現しました。アプローチ空間は敷地形状を活かした奥行きのある空間構成とし、内外が連続する設えとして表現しました。
狭小地かつ路地状敷地による用途制限によって事業性確保の点が課題でありましたが、駐車場隔地認定取得によって路面店の確保、隣地に囲まれた立地を生かし配管を屋外化、既存地下外壁・既存杭を残置した経済設計、地上部から斜柱とした構造計画などによって専用面積の最大化を達成しました。

Architect
花田 悠晟 Hanada Yusei

建築設計本部 第3設計室

1995年東京都生まれ。
東海大学工学部建築学科卒業後、東急設計コンサルタントに入社。

受賞を受けて一言
まずは全ての関係者に改めて感謝申し上げます。当社としては比較的小規模な物件でありながら受賞評価頂いた点について素直に嬉しく感じております。法的要件や狭小地ならではの問題、一方でまち(通り)に対しての解答を最大化するべく相対した問題を事業主含めて合意形成をしていく難易度が高かったと感じました。設計者として小さな拘りを積み重ねる事によって得られる経験があったと感じております。改めてこの機会を頂き誠に感謝申し上げます。

銀賞 VORT東京八重洲maxim

基本情報
所在地:東京都中央区八重洲
主要用途:事務所、サービス店舗、飲食店
建築主:合同会社八重洲一丁目開発
竣工日:2024年6月
施工会社:株式会社熊谷組
延床面積:5,057.40㎡
構造:S造一部RC造
階数:地下1階、地上14階

作品概要
東京駅八重洲口側の外濠通りに面した駅近好立地の敷地において、東急不動産が企画する中小規模テナントビルの計画。周辺は再開発事業が進み、新たな街づくりの機運が高まる中、その受け皿となるべく立ち上げられたプロジェクトです。
地区計画の認定による斜線制限及び容積率の緩和、避難階段の外部化、駐車場の隔地等の採用によって超高効率ビルを実現させています。
大小の道路に沿って二つの「つながり(= 街と企業のつながり、外部環境との身体的なつながり)」を外周部にもたせ、建築・設備としての必要機能と併せてファサードを構築しました。
エントランス空間は、かつての濠があったときの水辺の風景を再構することにより、街とビルのつながりをイメージさせる空間を意図しました。

Architect
飛鳥井 秀斗 Asukai Hideto

建築設計本部 第3設計室

1996年 新潟県生まれ。
東京電機大学大学院 未来科学研究科
建築学専攻を卒業後、東急設計コンサルタントに入社。
これまでに東急虎ノ門ビルなどオフィスビルをメインに担当。

受賞を受けて一言
東京駅八重洲口の外濠通り沿いで、周辺には大型再開発ビルなど多くのオフィスビルが立ち並ぶ好立地であったため、中小規模テナントビルでありながらも、周辺ビルに埋もれない個性的なファサードやグレード感の高いエントランス空間が求められたプロジェクトでした。
着工前には物価高の影響によりコストダウンも強いられましたが、事業者様、施工者様はじめ関係者の皆さまの助力のおかげで、設計時に思い描いていたファサードやエントランスを実現させることができました。
最終的にはみなさまの多大なるご協力のもと作品賞(銀賞)、プレゼンテーション賞を受賞できましたことを心より感謝いたします。
この経験を糧にこれからも街との関係性やつながりを意識した建築設計に努めていきたいと思います。

新人賞 STORYLINE瀬長島

基本情報
所在地:沖縄県豊見城市字瀬長瀬長原155番1
主要用途:リゾートホテル
建築主:東急株式会社、東急不動産株式会社
竣工日:2024年1月31日
施工会社:東急建設株式会社九州支店
延床面積:8,036.61㎡
構造:RC造
階数:地上8階

作品概要
瀬長島は那覇空港の滑走路を間近で見ることができる唯一無二の立地です。真上を通る飛行機や訪れる人々の賑わいの中、ラグジュアリーな時をカジュアルに過ごすことができるホテルを目指しました。
ひと際目立つシリンダー状の外観はネオン風の大型サイン組み合わせ、夜間に灯台を模したように浮かび上がります。オーニングを模した躯体の庇や波型バルコニー、張り出したアクリルプール、管制塔を模したラウンジなど、瀬長島オリジナルの外観を実現しました。
客室は、ビーチハウスをコンセプトにしています。砂浜のベージュや日差しのオレンジを基調に建築プランから備品に至るまで、ビーチハウスらしさを体現しています。
最上階のラウンジは管制塔を模したデザインとし、管制塔同様の15度傾斜サッシ、内装カラーリング、照明デザインに至るまで追求し、夜間の飛行場がダイナミックに見えるよう配慮しました。
ルーフトップのプールは滑走路と平行になるように角度を振り、アクリルを通して飛行機の離着陸を真横から楽しむことができます。また、飛行機からもプール底のSTORYLINEの文字を視認することができ、広告塔の役割を果たしています。
ゲストの皆さまが当ホテルでタイムレスな時を過ごし、瀬長島の更なる魅力を感じて頂くことを願っています。

Architect
吉川 智美 Yoshikawa Satomi

建築設計本部 第1設計統括室

1992年東京都生まれ。
東京大学大学院工学系研究科建築学専攻卒業後、東急設計コンサルタントに入社。

受賞を受けて一言
この度は、このような素晴らしい賞をいただき、大変光栄に思います。
このプロジェクトに関わった全ての方々の思いが実を結び、このような評価をいただけた事を大変嬉しく思います。
常駐での初めての現場監理を経験し、隅々まで自分の思いを込めることができました。
建築だけではなく、サイン計画、インテリアデザイン、アートの選定なども担当できたことは、設計者人生の大きな糧となりました。
事業主の皆様はじめ、最後まで信じて任せてくださった関係者の皆様には、大変感謝しております。
これからも挑戦を続け、心躍るような空間の可能性を探求していきたいと思います。