COERU渋谷青山通り

  • オフィス

青山通り沿いに建つテナントオフィスビルの計画。
敷地の立地特性で変わらないことと変わり続けることに対して考察した。
変わらないのは、大名屋敷が集まり品格を伴うまちであること、太平洋戦争以降に外国人向けの商業店舗が連なるなど新たな文化が介入された最先端のまちとして流行を常に受け入れる土壌が出来上がっていたこと。
変わり続けるものはアート、ファッション、音楽、自然が既に認知された品格のある場所から更なる更新と先端的なコンテンツが重なるまちとしての曖昧性があることである。このように品格を持ちつつ、まちとしての曖昧性を取り込むような建築が相応しいと考えた。建物の構成は連窓と壁の比率を1対1とすることでコンテンツの積み重ねを表し、外壁にはファンデーション特殊塗装とSUSの鏡面板を採用することで、太陽に反射された煌めく水面による曖昧性をイメージした。建物にはスタートアップ企業が入居予定であったため、将来、各テナントがこの建物から大きく羽ばたいていく「上昇感」をイメージして外観はグラデーションになるように隔階で明度を上げている。周辺建物のカラーをサンプリングし、周囲に馴染みつつも建物として際立つ色味を選定した。
敷地が狭小であったことから建物の短辺方向の間口は約4m、塔状比は約1:8という希有な物件のため構造は地盤アンカーと制振ダンパーを採用している。
このように、小さくシンプルながらも周囲に対して品格を表す建築が今後のテナントの活力に寄与することを願う。

DATA

所在地

東京都

主要用途

事務所、飲食店舗

建築主

東急不動産株式会社

竣工

2025年2月

施工会社

第一建設工業㈱東京支店

延床面積

945.97㎡

構造

S造

階数

11F