事業に関わったすべての方の最大限の努力の結果
渋谷に道を拓くことができた
上治 吾郎
UEJI Goro
第3設計統括室
担当職務:プロジェクトマネージャー(設計監理)
01道玄坂通プロジェクトに関わった経緯・役割について
事業化に向けた建築計画が本格化した2015年に参画をしてから、2023年に施設完成・開業まで、全体設計における設計監理プロジェクトマネージャー(設計責任者)として業務に関わりました。建築主代表のパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス様や工事施工を担当された熊谷組様を始めとした社外事業関係者様との協議や、基本構想段階・基本設計・実施設計・工事監理、ほか付随する各種業務や変更対応等、事業フェーズに応じた契約は20件近くに及びます。社内連携としては、事業初期段階から参画した都市計画チーム、事業本格化後の施設全体建築設計チーム、更には土木設計やホテル設計チームも加わりました。建築設計チームには、意匠設計、構造設計、設備設計、積算、品質管理など様々な分野の担当者が関わっています。
02度重なる計画変更に伴う、対応の難しさ・大変だった点
日本有数の繁華街である渋谷における施設計画は、事業者による事業推進の判断に応じた迅速な施設計画の対応が求められました。本施設に導入された、商業施設、オフィス、ホテルという複合用途の組み合わせは、事業企画段階から竣工まで約10年という年月の中で、最適な構成、面積バランス、そしてトレンドは変化し続けていたと考えます。企画当初は商業用途が優勢であったり、その後、オフィス需要の高まりやインバウンドによる宿泊施設も活況を呈していました。一方で2019年にはコロナ禍による観光や経済活動の停滞、そして開業を迎えた2023年には円安もあり再びインバウンドが絶好調。この時代の変化の中で、事業の最適解を目指した設計条件変更への対応は、当社のみならず、事業関係者、工事施工者それぞれの立場で最大限の努力が求められ続けていました。この開業ギリギリまで続いた絶え間ない努力の結果、大変さと同時に達成感を得ることができました。
03道玄坂通プロジェクトにおけるやりがいは?
当社が有する都市計画・建築設計・土木設計というそれぞれのスキルを最大限に掛け合わることができたプロジェクトでした。『敷地をつくる』ということから始まり、それに伴う『公共基盤(道路、インフラ、擁壁)』を整え、用途が複合した『建物をつくる』ということを一貫した社内協業で実現できたことは当社ならではの強みであると実感しています。また設計者としては、ひとつの建物で、商業・オフィス・ホテルの設計を同時に経験でき、実績として誇れる充実感もありました。それにより、事業者が目指した『道玄坂に道(みち)を拓く。』という目標達成に貢献できたと思います。開業式ならぬ、『開通式』という名で、企画から建物完成まで、並走させて頂いた事業関係者様、そして難易度の高い工事を遂行した施工関係者様には感謝を申し上げたいと思います。